26歳 男性 職業 飲食
スケートボードで転倒し、左肩を強くぶつけ受傷。
翌日、当院へ受診。
【初診時】
左鎖骨遠位~上腕骨近位での
腫脹(+) 発赤(+) 擦過傷(+)
鎖骨遠位~肩鎖関節での圧痛(++)変形(+)
上腕骨での圧痛(ー)
安静時痛(+)で、ほぼ動かすことも出来ない状態
痛みが強く予約の電話をもらった段階でも
「痛すぎて起き上がることも辛い」
という訴えでした。
肩を強打して起きうるケガとしては
・鎖骨骨折
・肩鎖関節脱臼
・上腕骨骨折
が臨床では多く遭遇します。
今回は圧痛の場所から
・肩鎖関節脱臼
を一番に疑いました。
〈肩鎖関節脱臼とは?〉
その名の通り、肩鎖関節という場所におこる脱臼です。
肩甲骨と鎖骨の連結部分なので一文字ずつ取って、この名前がついています。
画像で示すと
赤いペンで囲った部分になります。
健康な人でも触ると少し骨が出ていて、ゴツっとした感じが触知できるはずです。
ここで脱臼が起きると、鎖骨が上側に持ち上がってしまい肩甲骨と段差が生まれてしまいます。
皮膚や関節周囲の組織が持続的に引っ張られているため、痛みは強いです。
肩鎖関節脱臼はズレ方によってGrade(分類)があります。
・Ⅰ度(ちょっとズレ)
・Ⅱ度(結構なズレ)
・Ⅲ度(凄いズレ)
…
と、いった具合です。
※かなり大雑把な表現になっていますが、医学的には細かい分類基準があります。
今回は丁度、肩鎖関節の部分で一番の圧痛を訴えていましたし、変形があったために脱臼を疑いました。
しかし、肩鎖関節でなく鎖骨の端が折れている場合もあります。
肩鎖関節脱臼と鎖骨骨折は症状、場所がとても似ていますが処置する固定方法が全く異なるために鑑別が必要になります。
そのために、今回もエコー検査を実施しました。
【検査結果】
かなり、脱臼を疑われる画像が描写されました。
分かりやすくペンで補正をすると
左側には骨と骨の間がかなりズレていることが分かります。
掲載はしませんが鎖骨には骨折を疑われる描写がなかったために、肩鎖関節脱臼と判断し処置を行いました。
【初回処置】
・テーピングにて鎖骨を圧迫
・三角巾、バストバンドで固定
・総合病院へ紹介
テーピングは、上に持ち上がってしまった鎖骨を押さえつけるように数本貼ります。
軽度であれば、そこに三角巾で腕を吊るだけもOKです。
が、今回は痛みが強く脱臼の程度も酷かったためにバストバンドも使用しました。
バストバンドとは、本来は肋骨骨折などの際に体幹を固定する「柔らかめのコルセット」みたいなものです。
今回はこのバストバンドを用いて、三角巾ごと腕を身体に押さえつけることで腕が全く動かない状態にしました。
かなり不自由にはなりますが、固定をすると
「だいぶ楽になった」
と、患者さんもコメントしていました。
骨折、脱臼が疑われる際は応急処置後に医師への紹介が法律的、医療的にも必須となります。
今回は痛みも強く手術の可能性も考慮し、近隣の総合病院宛に紹介状を作成しました。
【医師の診断結果】
・肩鎖関節脱臼
手術が決定したとのお返事を頂きました。
【今後の治療計画】
患者さんは手術後のリハビリを当院で行う事を強く希望されておりました。
主治医の許可が出次第、当院にてリハビリ予定。
きしざわ接骨院 岸澤