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足首のねんざ【病態・鑑別・治療法】

医療オリンピックで3度優勝し、NHKにも出演させて頂いた

さいたま市緑区のきしざわ接骨院、岸澤です(^^)

包帯王 岸澤裕太の画像

今日は「足首のねんざ」についてお話をしたいと思います。

少しでも皆さんのお役に立つ話が出来れば幸いです。

足首のねんざってどんな状態?

足首のねんざを経験したことのある方は多いと思います。

 

実際、接骨院の臨床でもかなり頻度の高いケガです。

特に学生の運動中に発生するケースがほとんど。

 

多くは着地の際に誤って足首を内側にひねってしまう事でケガをします。

この時に「靭帯」を痛めることを

「捻挫」

と呼びます。

 

お医者さんによっては

ハッキリ「捻挫」という病名を使わず

『靭帯を伸ばしていますね』

という説明をされるようです。

 

ちなみに・・・

何故だか私の経験的に

『捻挫です』

と伝えるよりも

『靭帯を伸ばしています』

と伝えた方がより驚いたり、重症だと思う方が多いです。

なぜでしょう・・・(汗)

 

そして、これも経験的に

『ねんざなら良かったです。週末の試合には出れますよね?』

と言われることも多々あります。

 

ねんざ=軽傷→「三日で治る」

 

こういった考えが一般的なようです。

 

捻挫は決して軽く見てはいけません。

もちろん痛め方にも度合いがあります。

 

軽いものは湿布と様子見でOK。

ヒドイものはギプスと松葉杖です。

 

ギプスを巻くレベルだと、もちろん3日では治りませんし週末の試合にも出られません。

 

足首のねんざの鑑別とは?

 

では、痛め方の度合いはどうやってチェックするのでしょうか?

 

そもそも、大前提として

「足をひねってケガをした」

からと言って、捻挫とは限りません。

 

『骨折』

の可能性もあるからです。

 

特に中学生以下では本当に多いです。

 

『様子を見ていたんですが腫れてるけど、歩けるから骨には異常がないと思いますよ。』

 

そのようにおっしゃる方の気持ちも分かりますが、これは大して参考になりません。

骨が折れていても歩けることも普通にあるからです。

 

なので、

足をひねった患者さんが来院された場合は

 

『骨折か?捻挫か?それ以外なのか??』

 ↓

『捻挫なら痛めている程度はどれくらいか??』

 

を正確に判断する必要があります。

 

この時にとても役に立つのが

当院でも活躍している『エコー検査器』です。

エコー検査をする岸澤裕太

下のエコー画像は

小学生の足首骨折で実際に撮影されたものです。

外果骨折のエコー画像

右が患側で明らかな骨のダメージと腫れが確認できます。

 

このエコーと靭帯損傷をチェックする整形外科的テスト、運動検査を行って総合的な鑑別を行います。

 

意外かもしれませんが、足首の捻挫の程度を鑑別するのにレントゲン検査はあまり有効ではありません。

骨折の有無を判断することは出来ますが、靭帯はレントゲンには映らないため判断が出来ないのです。

 

また、小児の骨折の場合は骨折と言っても端が少し欠けるような「剥離骨折」が多く、これもレントゲンでは判断困難な場合が多いです。

 

エコーは撮影しながら患部を動かしたり、ストレスを加えてレスポンスを見ることが出来るのも利点です。

つまり、撮影しながら故意に靭帯に負担をかけてみて、どの程度引き延ばされるかを確認する事も出来ます。

 

そういった理由で、最近は整形外科でも捻挫に対してはエコーを活用するところが増えてきています。

 

このように「たかが捻挫」と言えども

様々な検査が行われ、その鑑別結果によって治療法が決定されます。

 

 

足首のねんざの治療方法は?

前述の通り、軽いものは湿布を貼る程度で済みます。

少し腫れているくらいのものですね。

 

ただ、内出血を伴うような痛め方をしてくると固定が必要です。

固定を大きく分類すると

①サポーター

②ギプス

③シーネ+包帯

になります。

 

①サポーターは比較的に軽傷な場合です。

取り外しできることが利点で、お風呂に患部を浸けることができます。

 

②ギプスは上の写真のように取り外しが出来ないグルグル巻きの状態です。重症の場合の選択肢になります。

ガラスファイバーが含まれた特殊な包帯を用いて作成します。

ガチガチに固まるので外すことは出来ません。お風呂もビニールに包んで水の侵入には注意して入ってもらいます。

利点としては、骨折でも大丈夫な位に強固な固定であるという事です。

ここまでやっておけば、ほぼ安心!という具合です。

場合によっては松葉杖は使わずにそのまま歩くことも可能です。

デメリットとしては、どうしてもむくみが出て血流が悪くなってしまう事。

一般の方が思っている以上に、むくみはケガの回復を遅らせてしまします。

また、患部が汗などで不衛生になり、かゆみやかぶれが生じやすい事です。

 

③シーネ+包帯も重症な場合に用います。

シーネとは患部の形に沿って曲げた板状の固定具の事です。シーネを当てて、それを包帯で巻いて固定します。基本的には松葉杖を併用することが多いです。

利点はギプスほどに血流を阻害しない事。また、包帯を外して患部を消毒したり、電気治療、軽い運動療法を行う事も出来る事になります。

デメリットとしてはどうしても松葉杖を使うと不便であり、足を着かない事で筋肉も衰えやす事です。

 

当院では③を選ぶことが多いです。

 

一番の理由は血流の確保が出来る事です。

痛みの出ない安全な方向へ足首を少し動かしたり、指を動かしたりする事は本当に血流を改善し、痛みを退かせて治りを早めます。

 

ただ、どうしても運動量が多く、こちらの言う事を守れなさそうな学生にはギプスを施すこともあります。特に学生は本当に血流が豊富なので、多少ギプス固定でむくみが出ても、すぐに改善してくれるという理由もあります。

  

足首のねんざ治療で大切な事

ねんざの治療で大切になることは以下の三つです

 

①損傷度合いを正確に把握する

②必要な固定を必要な期間だけ行う

③固定除去後に適切なリハビリを行う

 

②は当たり前のようで、難しいです。

ギプス固定が1wがベストなら3日で外したり、逆に2wやってはいけないという事です。

 

「固定期間が短いのが悪いのは分るけど、長い分には良いんじゃないの??」

という声が聞こえてきそうですね。

確かに短いよりはマシです。

が、やはり良くないんです。

なぜなら、関節や筋肉などの組織が固まってしまうからです。

痛めてしまった患部は治ってきているのに、周りの筋肉が固まって痛みが取れないケースも多々あります。

それを解消していくのは意外と時間がかかるのです。

ですから、固定は必要な期間のみ行う事がベストなんです。

 

③のリハビリは足首に限定したことではありません。

足首をケガするとどうしても、かばって全身の使い方がギクシャクしてしまいます。

捻挫自体が治っても、全身の使い方がおかしいままでは別の部位を痛めたり、捻挫を再発させる危険もあります。

そのため、足が治ったあとには全身の評価をして問題がないかチェック、何か異常があればそれを修正するエクササイズなどを実施します。

 

 

きしざわ接骨院 岸澤