鑑別にはレントゲン等の画像検査が絶対ではない
腰痛の鑑別にはレントゲンやMRIといった画像検査が用いられることが一般的ですが、画像検査だけで原因を特定するのは必ずしも簡単ではありません。事実、痛みのない健常者でも画像検査を行うと、椎間板の変形や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの「異常」が見つかることがあります。
アメリカの腰痛治療ガイドラインでは積極的なレントゲン検査を否定
アメリカの腰痛治療ガイドラインでは、腰痛患者に対するレントゲン検査の頻繁な使用を否定しています。画像検査が過剰に行われると、不必要な治療や過剰な心配を生むだけでなく、治療費もかさむためです。重要なのは、画像検査の結果だけに頼るのではなく、患者さんの姿勢や動作、痛みの出る部位などから慎重に原因を推測することです。
腰痛の鑑別で大切なポイント
腰痛治療の効果を最大限にするためには、最初の鑑別でどこまで原因を正確に特定できるかが非常に重要です。鑑別の際にチェックすべき主なポイントは以下の通りです。
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姿勢: 立っている時、座っている時、寝ている時など、さまざまな姿勢で痛みが出るか、姿勢によって痛みが強くなるかどうかを確認します。
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動き: 前かがみや後ろ反り、横に曲げる、ひねるといった動作で痛みが強くなるかどうか、どの動きで痛みが出やすいかを確認します。
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痛みの出る部位: 腰のどの部分に痛みが出ているか、特定の部位に集中しているのか、広範囲に広がっているのかを見極めます。
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痛みの強くなる・弱くなる動き: どの動きで痛みが強くなり、どの動きで痛みが弱くなるかを徹底的にチェックします。
これらのポイントを確認することで、本当に痛みを引き起こしている部分を推測し、特定することができます。
治療効果に優劣が生まれるのは最初の鑑別で原因を特定できるかどうか
腰痛治療には理学療法、ストレッチ、筋トレ、整体、カイロプラクティック、鍼などさまざまな方法がありますが、そこに優劣があるわけではありません。最初の鑑別で原因を正確に特定することができれば、どの治療法でも効果的に症状を改善することが可能です。
例えば、筋肉の緊張が原因であればストレッチやマッサージが効果的ですし、姿勢の問題であれば整体やカイロプラクティックが適しています。神経根の圧迫が原因であれば、物理療法や筋力強化が重要となります。
まとめ
腰痛治療において最も重要なのは、痛みの原因を特定するための「鑑別」です。レントゲンやMRIなどの画像検査に頼りすぎず、姿勢や動作、痛みの出る部位などを総合的にチェックすることで、適切な治療方法を選択し、効果的に腰痛を改善することができます。まずは信頼できる専門家に相談し、自分の症状に合った最適な治療法を見つけましょう。