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産後に骨盤矯正は不要

とても久しぶりの更新になってしまいました。

 

その分、気合を入れてしっかりと書いていきたいと思います。

 

当院で行っている

「産後の骨盤矯正」

についてです。

 

本当は

「産後ケア」

「産後リハビリテーション」

という名称にしたいと思っているのですが、

伝わりづらいので「骨盤矯正」としています。

 

なぜ、そんな名称にしたいと考えているのか?

ってか、骨盤矯正ってなんなのか?

 

まとめてみました。

 

一部、同業の方を悪く言ってしまうような表現が出てしまいますがご了承ください。

 

 


産後の骨盤の状態


当院では多くの産後ママが骨盤矯正を希望して来院されます。

 

平均すると月に初診で10~20人程ですかね。

 

症状は人それぞれです。

 

・痛みがあって悩んでいる人

・別に痛みはないけど、なんとなく調子の悪い人

・痩せたい人

・とりあえず身体をチェックしてほしい人

 

・・・こんな感じに分類できます。

 

産後は身体もメンタルも疲弊しているので、少しでも身体が楽になるなら骨盤矯正を受けたい方が多いように感じます。

 

ただ、

皆さんに共通しているのは

「産後の骨盤の状態を間違って認識している」

という事です。

 

もちろん、

普通に生活していれば解剖学も、生理学も学んでこないので当然のことですが。

 

 

多くの方の認識は

 

「とにかく骨盤が開いている!!」

「キュッと締めておきたい!!」

 

という具合です。

 

しかし、当院では初診のカウンセリングで

 

「骨盤って、そんなに開いたりしないよ(汗)」

 

と、お伝えしています。

 

 

一体どういうことなのか??

 

まずは、

産後の骨盤の状態をしっかり理解していきましょう。

 

 

骨盤は一つの大きな骨でなく、

・仙骨

・右の寛骨

・左の寛骨

という三つの骨に分けることが出来ます。

 

ハート型をしている骨盤の真ん中が仙骨(尾てい骨の上)、左右の丸い部分が寛骨です。

 

三つが合わさって骨盤を形成しているため、繋ぎ目が少し動きます。

 

妊娠、特に出産ではホルモンの影響、胎児の影響で骨盤が広がり産道を確保することになります。

 

こう言うと

『やっぱり、骨盤広がってるんじゃん!!!』

 

って思われますよね。

 

 

確かに広がりはします。

 

 

ただ、それは一般にイメージされるような

 

『ガバーーーーッ!!!!』

 

と広がるのでなく、

せいぜい1cm以下です。

メッチャ、ちょっと(笑)

 

 

 

時々、

整体院のHPなどで

 

「正しい骨盤」

「産後の開いた骨盤」

 

をイラストで紹介していますが・・・

 

 

あんなに開いたら歩くことも出来ません。

即、入院です。

 

申し訳ないけど、絶対にウソです。

 

 

なので

「皆さんが思っているほど骨盤開かないよ」

って、話に繋がります。

 

 

「じゃあ、産後の骨盤は全然問題がないのか?」

というと、そういう訳ではありません。

 

骨盤はストレスを

妊娠の長期間にジワジワと、

出産の短時間に急激に受けているわけです。

 

 

開きはしなくても、

傾きが変わったり、

左右の捻じれ加減が大きく変わったりしています。

 

そもそも、

骨盤は左右対称でキレイな位置関係にあることの方が珍しいです。

 

なので、当院ではそれを検査して評価します。

 

修正するべき部分に対して

施術だけでなく、運動指導や生活指導を行い、少しずつ良い方向へ誘導していきます。

 

 

ちなみに身体をひねって

 

『ボキ、ボキっ!!』

 

と、矯正する先生もいますが、あの一回だけで骨盤がしっかり整うなんてことはありません。

 

 

「産後は骨盤が開いています。半年までに矯正しないと大変なことになりますよ!」

 

こんな風に、とにかくアピールしている治療院は見極めた方が良いかもしれません。

 

 

産後だから

「骨盤を閉めるための骨盤矯正」

なんてものは必要ないのです。

 

必要なのは

全身を評価して、機能が悪いところを修正していくことです。


産後で骨盤以外の状態


産後は実は骨盤以外にも大きな変化が出ています。

 

特に

・背骨

・胸郭

・肩関節

・股関節

のダメージが大きく、リハビリが必要だと考えています。

※矯正でなく、あえてリハビリと書きます

 

 

妊娠後期になるとお腹がとても大きくなるので、

 

・腰を反らせる

・背中を丸める

 

悪い姿勢になります。

 

産後は、赤ちゃんがいなくなった分お腹が小さくなり

(初産だとほとんどの方が、思っている以上にお腹が凹まない、体重が落ちないと嘆かれていますね)

悪い姿勢を取る必要がなくなってきます。

 

なので、

普通にしていれば元の姿勢に戻りそうですよね。

 

でも、戻らないのです。

 

 

・抱っこ

・授乳

 

という、重労働を毎日毎日するためです。

 

 

抱っこで腰を反らせる。

 

授乳で背中を丸める。

 

それをいつもやっているわけですから、そのまま過ごしていたら悪い姿勢のままになってしまう、むしろ更に悪化してしまうのも当然です。

 

 

悪い姿勢で生活し、満足に寝れないと

 

・腰痛

・肩コリ、首コリ

・五十肩

・股関節痛

 

が頻繁に出現します。

 

 

これらを解決するためには、

 

①負担の少ない姿勢、生活をする

②ストレッチなどのセルフケアを行う

③専門的なリハビリを受ける

 

この3つがとても大切になります。

 

③はもちろんセラピストに依頼しますが①.②に関しても専門家に身体を見てもらって個別に指導を受ける事が望ましいです。

 

 

当院では、このような考えて産後の全身ケアをしているため

「産後の骨盤矯正」

ではなく

「産後リハビリテーション」

という名称に本当はしたいな~・・・と思っています。

 

 

その事を何度か通院されている患者さんに話したら

 

「なるほどだけど、その名前だったらよく分からないから通わなかったと思う」

 

と言われました(笑)

 

 

なので

これからも産後の骨盤矯正として全身のリハビリをしていきます。

 


何故、医師が骨盤矯正を勧めないか?


現在、産後以外も含めて病院やクリニックで「骨盤矯正」を行っているところはないと思います。

 

むしろ

 

「矯正なんて受けなくて良い」

「行かない方が良い」

 

と、おっしゃる先生も多いと思います。

 

 

そもそも、

「骨盤を整える」という発想は病院にはなく、整体やカイロプラクティックにしかありません。

 

病院の医師が

 

「骨盤矯正って、ちょっと触っただけで骨盤が整う訳ないでしょ」

「骨盤なんて、みんな多少は歪んでいて当たり前だよ」

「その場は良いかもだけど、いつも通りに生活してたらすぐ戻るでしょ」

 ↓  ↓  ↓

『なんなの?骨盤矯正って????』

 

こんな風にお考えになるのは当然です。

私自身も前述した通りこの意見に賛成です。

 

 

大切なのは

「骨盤」とか「姿勢」という静的な評価だけに捉われないことです。

「動き」や「機能」が正常か、動的な評価を合わせて行う必要があります。

 

静的な問題を良くしても、動的な問題が残っていればすぐに元に戻ってしまいます。

 

それと、もう一つの大切な要素が「生活指導」です。

 

・抱っこの仕方

・授乳の仕方

・添い寝の仕方

 

などがこれにあたります。

 

 

このことを患者さんに伝える際には、

私が好きな車の話に例えることが多いです。。

 

こんな感じです。

 

 

・運転しづらいと思って修理工場に行った。

 

・左前のタイヤがパンクしていたのが原因だった。

 

・直してもらって、普通に運転できるようになった。

 

・また翌日、運転しづらくなって工場へ行った。

 

・やはり左前のタイヤがパンクしていた。

 

 

パンクの原因はなんでしょうか?

修理が下手だったのか??

 

この運転手は車体の左側の確認をしないで運転する癖があったとしたら?

いつも、同じ路地で左前を乗り上げてパンクさせていたとしたら?

 

何回、パンク修理をしても意味ありません。

運転しづらい原因はパンクではなく、本人の運転だったわけですから。

 

なので

親切で頭の良い整備工ならパンク修理をするだけでなく、しょっちゅうパンクしてしまう原因を運転手から聞き出すでしょう。

 

そして

「左側に気を付けて運転してね」

 

こんな風に伝えるだけで問題は解決します。

 

 

 

 

ここで大切なのは

「パンク修理」と「アドバイス」の両方が大切で、どっちが欠けてもダメだという事。

 

静的な「骨盤のゆがみ」「姿勢のゆがみ」を解決し、

動的な「動き」「機能」も解決。

それと「生活指導」のアドバイス。

 

 

これらが揃うことで

恐らく病院の医師も納得してくれるであろう「産後リハビリテーション」が完成します。

 

そんなリハビリが精度高く出来るように、今後も精進してまいります。

 

 

院長 岸澤

 

 

【診療時間】

平日:9時~12時半 14時半~19時半

日曜:9時~15時

休診日:金曜午後・土曜・祝日

 

※完全予約制ですが、骨折などの緊急性の高い外傷は優先して診察します。

 

【院情報】

きしざわ接骨院

〒336-0907

埼玉県さいたま市緑区道祖土(さいど)3-5-20

TEL   048-711-3448

MAIL kishizawaseikotsu@gmail.com

 

駐車場2台

自転車は院の前にお停めください

 

管理責任者 岸澤裕太