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医学的に「産後の骨盤矯正」を考える

なぜ骨盤矯正を病院でやらない?

 

「産後の骨盤矯正」を病院やクリニックでやっているところはないと思われます。

少なくとも私の知る限りでは一院もありません。

 

ただ、最近は

「産後リハビリテーション」

として産後のケアを積極的に行うチームや産院も見られるようになってきました。

 

 

「産後の骨盤矯正」

「産後リハビリテーション」

 

一体、何が違うのか?

 

「骨盤矯正は聞いた事あるけど、リハビリテーションってケガした人が受けるヤツ?」

「よく分からないけど、肉まんとブタまんの違いみたいに微妙な感じでしょ?」

 

こんな印象を持たれる方が多いのではないでしょうか?

 

実はこの言葉には大きな違いがあります。

同業の先生が全員そう思っているかは分かりませんが、私はそう感じています。

 

 

そもそも、

病院の医師で

「骨盤矯正」

の効果を認めている人はほとんどいませんので、そんなことは行いませんし、リハビリスタッフに指示もしません。

 

しかし、

「リハビリテーション」

の重要性は医師も深く理解されています。

病院でケガ人や福祉施設で高齢者に行われているのがリハビリですね。

 

 

『骨盤矯正って効果がないの!??』

 

驚かれた方も多いと思います。

 

なぜ効果がないと言われているか?

「骨盤はみんな歪んでいるし、簡単に動いたり・整ったりはしないから

 

これが解剖学、生理学を含めた医学的な見解だからです。

 

実際には

「妊娠出産では1cm以下程度は骨盤が開く」

「健常な骨盤も数ミリは動く」

という事が研究で判明していますが、所詮はその程度の変化です。

 

なので、

「骨盤を矯正するなんて不可能だし、無意味」

と、結論が出るのが当然なわけです。

 

 

更に言うと

骨盤矯正は「正しいやり方」みたいなものがありません。

 

何故なら「医学的に根拠がないから」です。

 

例えば手首の骨折で本当に曲がって歪んでいる骨を整復(徒手で治すこと)する場合は、正しいやり方が医師によって考案されています。

それらは

「こうやって治すと、骨の位置がキレイになることが画像で判断できるから」

という医学的な根拠があるからです。

 

実際には整復の方法はいくつかありますが、どれも医学的根拠があり「正しいやり方」とされています。

 

 

では、骨盤矯正は?

 

画像で確認することも出来ない(実際に凄く動いたりしないので)わけですから、各個人の見解によって好き勝手な事が言われています。

 

「左右の脚で短い方を引っ張ると良い」

「揺らすと骨盤が整う」

「ボキボキやれば良い」

 

など。

 

しつこいようですが、その根拠は医学的でなく

 

「自分はこうやったら良くなった!」

「そういうものだと師匠に教わったから!」

 

という独断と偏見です。

 

 

ただ、

私個人としては

 

・米国の正式なカイロプラクティック

・AKA-博多法

 

はテクニックとして、とてもしっかりしているのではないかと考えています。

それぞれがどういう治療法なのかを説明すると、それだけでブログが書けるくらいのボリュームなので、ここでは「そんなのもあるんだ~」くらいに思って頂ければ大丈夫です。

気になる方はGoogleからお願いします。

 

 

では、

「産後リハビリテーション」は?

 

これは、骨盤にとらわれず全身的な動きや筋力などを「医学的に」細かく評価して、状態を回復させるためにマッサージやストレッチ、トレーニング指導などをすることです。

 

当院もこの考え方を大切にしています。

 

産後のダメージを回復させることは大切だと認識が広まり、産院でも「産後リハビリテーション」が行われるようになってきているのです。

 

 

以上から

 

「医師は骨盤矯正なんて認めない」

 

という事がご理解頂けたかと思います。

 

 

『じゃあ、なんであなたの接骨院では骨盤矯正やっているの???』 

 

そう思うのが当然ですよね。

 

私の考えとしては

「骨盤矯正はあくまで、骨盤部分に対する治療法の一種」

という事です。

 

「何をもって矯正というのか」は一旦置いて、そのテクニック自体は様々な応用が利きます。

 

「歪んでいる」とかではなく「動きが悪い」骨盤は、腰や股関節に悪い影響を及ぼします。

その「動きの悪さ」を取るために骨盤矯正のテクニックを私は良く使っています。

 

分かりづらいですよね。

 

「骨盤矯正で骨盤の形を変えるする事は難しいだろうけど、動きを良くするには効果的!」

という事です。

 

 

なので骨盤矯正だけをやればOKみたいな考えは一切持っていません。

 

 

 

産後の骨盤の状態は?

 

「産後の骨盤はそんなに開いていない」

と前述しました。

 

これまでのブログでも何度も書いていますので、読んだことある方はココは飛ばして頂いても大丈夫かと思います。

 

産後の骨盤はホルモンと胎児の影響で1cm程度だけ開いています。

 

なぜこれだけしか開いて無いのに

「産後は骨盤がゆるゆるに開いている」

 という考えが浸透したのでしょうか?

 

これは私個人の考えですが

『治療院業界のマーケティング』

だと思います・・・

 

どういう事か?

 

『不安を煽って、通院を促し、施術して治療費をもらうために宣伝を頑張ったから』

です。

 

実際、多くの治療院・整体院で

 

「産後はこんなに骨盤が開いています!歪んでいます!!」

「産前よりもキレイな骨盤にするチャンス!!」

 

などと、書かれています。

 

しつこいようですが・・・これらには医学的根拠はありません。

骨盤は簡単に広がらないし、締められないし、若干開いた分は時間をかけて自力で戻ります。

 

 

しかし、実際の現場では

 

「でも、骨盤がグラグラして不安定なんです!!」

「なんだか歩きづらいんです!」

 

このような訴えの産後ママは当院にも多く来院されます。

 

でも、これは骨盤が開いているからではないんです。

他の原因がしっかりとあります。

 

自覚として

「骨盤グラグラ」

があるので

「骨盤が開いている」

と、言われたらとても納得してしまいますが、実際は違うのです。

 

 

グラグラしている原因は

 

・妊娠中と重心が変わっている

※胎児の重さがなくなったため

 

・股関節まわりの筋力の低下

 

である事がほとんど。

 

 

・・・なんとも地味な感じですが、これが事実です。

 

でも、考えてみたら誰でも分かる当然のことですよね。

 

出産で骨盤の形以上に身体の重心バランスは変化しています。

骨盤を押したり、捻ったりしても、重心バランスが整う事はないでしょう。

 

重心バランスが違うために、

妊娠後期と産後では立ったり、歩いたりする時に使う筋肉も微妙に違ってきます。

 

なので

「歩いていて不安定な感じがする」

 

もしくは

 

「なんだか骨盤がグラグラ、痛い」

わけです。

 

 

いかがでしょう?

ここまで読んできて、だんだんと

 

「じゃあ産後は特に何もしなくて良いのかな・・・」

 

と思い始めてきましたか?

 

 

それは大きな間違いです。

 

 

今までの内容はあくまで

「産後に骨盤矯正だけをしても意味がない」

という論点で進めてきています。

 

「産後に何をしても意味がない」

 

とは言ってません。

 

 

 

 

では、

産後にやるべきことをお伝えしていきます。

 

 

産後に必要な事は?

 

医学的に考えて産後に必要な事。

それは

 

①セラピストによる骨盤を含めた全身のケア

※ここに骨盤矯正も含まれます

②自分でのストレッチ

③自分での筋トレ

④必要な栄養の摂取

⑤出来るだけ睡眠、休息

 

です。

 

 

なんとも当たり前な内容ですね。

 

「ここまで読んできて、結論がそんな当たり前の事!?」

 

と思われた方もいるでしょう。

でも、当たり前のことをしっかり出来ている人は少ないです。

 

ダイエットするためには

・食事制限

・運動

が大原則なのと同じです。

 

凄い抜け道!

裏技的なアプローチ!!

なんてあり得ないのです。

 

 

では、当院ではどのようにして産後ケア・骨盤矯正を行うのかをお伝えしていきます。

 

①問診

②検査

③治療

④生活指導

 

です。

これも言葉でまとめると当たり前の事ですね。

 

ただ、一般の方が重要視するのは③の「治療」なのだと思います。

 

『上手なケアを受けたい』

『凄い治療法を受けたい』

 

と、思われて来院される方も多いです。

 

しかし、

当院が重要視しているのは③ではなく②の検査です。

 

検査を細かくやることで、どこがどのように悪いのかが判断出来てアプローチが出来ます。

 

「治療の設計図づくり」

と言えばイメージしてもらえますでしょうか?

 

当院はかなり多くの検査項目を設けています。

具体的には以下にまとめます

 

『一般的な治療院の検査』

・姿勢検査

・首、腰の動きの評価

・硬い筋肉のチェック

・足の長さのチェック

 

これぐらいやっていれば「しっかりやっているな」という感じです。

 

対して当院では

 

・姿勢検査

・首、腰、肩、股関節、足首、体幹、胸郭の動きの評価

・股関節の筋力評価

・全身の協調性評価

・硬い筋肉のチェック

・エコーによる体幹筋の収縮度合い評価

 

それに追加して最近は

 

・体組成検査(筋肉、脂肪量、骨量など)

 

も行うようになりました。

 

 

「・・・そう言われても専門用語多くて意味わかりません」

 

ですよね!!(笑)

 

とにかく、多めの検査項目があるのです。

 

 

ダイエットする際に、毎日使うヘルスメーターはどちらが効果的だと思いますか?

 

①体重だけ表示する

②体重、体脂肪、基礎代謝、内臓脂肪レベルなど表示する

 

答えはもちろん②ですよね。

 

評価する項目が多いほど、それに対するアクションも明確になるので効果もドンドン上がっていきます。

 

回りくどくなってしまいましたが、

なので当院では検査に力を入れています。

 

 

そこで出た結果に合わせて

 

・ストレッチ指導

・筋トレ指導

・生活・栄養指導

 

を行っていくのです。

 

 

ここまでやらないと結果に繋げられないと、今までの経験から感じています。

 

 

少し前までは私も

「とにかく治療技術を高める事が大事!」

「結果が出ないのは自分の治療技術が足りないから!」

と考えて、とにかく手技の練習ばかりをしていました。

 

もちろん、それはとても大切な事です。

 

しかし、

自分にやれることはそれだけじゃないと気づけました。

 

大事なのは

「お身体の状態を患者さんにも理解して頂き、一緒に治療を進める事」

だと。

 

例えば

固まった筋肉が原因で痛みがあって、それを治すにはどうしたら良いか?

 

施術者がとにかく緩めようと必死になるよりも、患者さんにストレッチと負担のかからない動きを指導した方がはるかに効果的です。

 

患者さんは院にいない時間の方が圧倒的に長いのですから。

 

 

だからと言って、なんでも患者さんにやってもらえば良くなるわけではないので、その足りない部分を私たち施術者がアプローチする。

 

そういう協力したプランニングが大切ですね。

 

 

では、最後に

「産後の骨盤矯正は意味がないのか?」

についてまとめます。

 

『骨盤矯正だけをやっても意味はない』

『それに合わせて医学的に根拠のあるアプローチを複数行う必要がある』

 

以上になります。

 

 

内容が少しでも産後ママのお役に立てていると嬉しいです。

 

 

 

きしざわ接骨院

岸澤

 

 

【診療時間】

平日:9時~12時半 14時半~19時半

日曜:9時~15時

休診日:金曜午後・土曜・祝日

 

※完全予約制ですが、骨折などの緊急性の高い外傷は優先して診察します。

 

【院情報】

きしざわ接骨院

〒336-0907

埼玉県さいたま市緑区道祖土(さいど)3-5-20

TEL   048-711-3448

MAIL kishizawaseikotsu@gmail.com

 

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自転車は院の前にお停めください

 

管理責任者 岸澤裕太